かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#101

 多分本当に殺意はなかったのだろうと思う。未必の故意さえもなかったのだろう、と。そして、彼女はいずれにしても終生、自身の罪から逃れることはできないだろう、とも。刑罰はむしろ周囲を納得させるためにある。彼女はおそらく、どんな罰を与えられても自身の罪から逃れることはできないのだ。もっともそれで失われたふたつのいのちが戻るわけではないし、あるいは絶望すら感じることもできずに果てざるを得なかったふたりの魂があるとして、その魂が癒されることもないのだろうが。
 オレはただ悲しい。ひたすらに悲しいんだよ。失われたふたりについても、その結果を招いた彼女についても。そんな事態が出来したこと自体が、ただただ悲しい。それだけだ。