かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#102

 誰も悪くはないのに、悲しいことはいつもある――もう36年も前に中島みゆきはそう歌っていた。そう、悲しいことはいつもあって、そしてそれは誰のせいでもない。ただ結果あるいは現象として、悲しいことがある。いつもある。誰も悪くはないと見切ったところに彼女の凄さがあり、またそれが真実であるところに現実というもののやりきれなさがあるんだ。そのやりきれなさを原因を誰かに求めることでやり過ごそうとするのは、真実が見えていないってことさ。あるいは真実を見るのが怖いのかもしれないね。でもやっぱり、誰も悪くはないんだよ。だからこそ、悲しいことが絶え間なく生じているんだ。誰も悪くはない、誰も。だから悲しいんだ。