かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

#125

昨三月に子が生まれ、昨五月に母が逝去した。今、子は生後十か月を目前にして、日々信じられないほどの勢いで成長している。その姿を見ていて思う、母にはもう少し長生きしてほしかったと。今なら五月より、少しは親というものがどういうものなのか、わかっていると思うのだ。母がどんな風にオレを見ていたかが、少しはわかるようになったと思うのだ。
 母がオレに、今のオレが子に向けるような気持ちを向けていたのなら(そしてそれはおそらく確かな事実であるはずだ)、オレの母に対する感謝の気持ちはまったく異なってくる。その気持ちを、わずかでも伝えたかった。伝えて、感謝をしたかった。あんな感謝では、到底足りなかったのだ。
 とはいえおそらく、子が一歳となり二歳となり、さらに齢を重ねてゆけば、その時々でさらに異なる発見と感謝が生じるのだろう。きりがないね。きりがないよ。けれどそれでも、今の自分の気持ちから生じる感謝を、母には伝えたかったよ。……まあでも母は、それを伝えられることをそれほど望んではいなかったかもしれないけれどね。今のオレがそうであるように。