#2793

　人間はひとりで生きてゆけるようにはできていない。それは単にそばに誰かがいなければならないというだけのことでない。営々と積み重ねられてきた歴史、その過程で生み出されてきたさまざまな技術と知識にも人間はまた依存している。人間の一個体はそれら過去の人間たちが育んできたもの、すなわち文明の総和であり、文明によって人間は初めて人間として暮らすに値する存在になるのである。

　それを伝授する行為を教育という。
　これを蔑ろにするモノは人間と呼ぶに値しない。