かどいの『I'm in Rock!-Ⅱ』

ある文筆業者(分泌業者ではない)の生存証明。基本的に毎日更新。

映画『ワイルド7』観てきた【⑥ 車両】

 ワイルドといえばオートバイですし、セブンレーラーでもあります。つまり、車両抜きでは語れませんし、車両がダサいとまるっきりダサくなっちゃったりするのです。
 で、今回の映画ではどうだったか? まあ大筋においておっけーだったのではないか、と思います。
 もちろん、原作ファンとしては、もっと無理をしてほしい部分もあります。ですが、007を初めとするスパイものがまだ人気を得ていた頃、秘密兵器ということばが新鮮だった頃に考えられた車両と、今回の映画のコンセプトに即した車両の間には、かなりの隔たりがあります。制服の項でも触れたように、コンセプトからの逸脱は、あまり好ましいものでもありません。今回の作品のコンセプトに沿っていたなら、それはよい出来であった、と考えるのが筋というものでしょう。



 飛葉の乗車は、多分ホンダのCB1300。和製オンロード車の究極だと自分は思っています。そういえばこれって、『仮面ライダー The First』でも、2号ライダー一文字隼人の乗車として使われてたんじゃなかったっけ。
 原作ではホンダドリームCB750Four。国内初、どころか世界初の直列四気筒エンジン搭載オートバイでした。設計図面を見た本田宗一郎が「こんなもん誰が乗るんだ!?」と激昂したとかしなかったとかw そんな、当時のお化けマシンです。エンジンはレースにも転用され、その時には海外のプレスに「電動モーターのように静かで高性能」と評価された……らしいです。大昔、タミヤの1/6プラモの箱にそう書いてあったように記憶してますw
 その血を受け継ぐ、ホンダのフラグシップ的大型オートバイがCB1300。排気量はほぼ倍になりましたが、飛葉の乗るべきオートバイとしては正しい選択だと思います。



 膝元のウインドシールドは省かれ、これは他の車両にも共通ですが、シート後部に格納されているはずの鎖分銅発射装置も省かれていたようです。まあ鎖分銅は無理して出さなくてもいいや。ここぞという時のびっくり機構ですが、やや説得力に欠けるものでもありましたし。
 ウインドシールドが省かれたのは、アクションに不向きだからでしょうね。飛葉のオートバイの大きなアイキャッチですから、無理してもくっつけてほしかった気はしますが、その分アクションが派手だったからよしとしましょう。
 ジャンプ&着地などの場面では、ワイヤーはあまり使わず、正味のアクションで攻めてたっぽいです。多分、あとでフロントサスとか総取っ替えになったんじゃないかとw ほとんど転倒状態でのスライディングは、板に載せて引っ張ってあとからCG加工ってことなのでしょうが、充分なスピード感があって、実に爽快でしたね。
 ただ、カラーリングは、他の車両にもいえますけれども、もうひとつのような気も。
 基本的に銀色なんですが(これはおそらく、TV版のOp曲の歌詞「光るマシンのシルバーが」に対するオマージュかと思います)、却って地味だった気がします。じゃあ他にどんな色が?……となると悩んじゃうんですけど。黒はありえないし、白も意外に地味ですし。うーん。
 ああそうだ、それと、ワイルドのエンブレム(歯車の中にドーベルマン)は出てきませんでした。かわりに8マスのチェッカーがどの車両にもありました。これは残念だったな。組織を印象づけない程度の共通仕様という点では、8マスチェッカーの方がリアリティあるんでしょうけどね。やっぱワイルドっつったら、あのエンブレムだものなぁ。



 たびたび触れている両国の、じゃなくてパイロウの無反動砲サイドカーつきオートバイは、相応によくできていたと思います。
 原作では6〜12連、だいたい8連のハコがついてますが、今回は4連でハコなし、砲剥き出し。発射シーンも一回だけで、ちょっと物足りない印象があります。でも、機動隊を威嚇する場面でしっかりメカアクションも見せてくれました。あれは嬉しかったですねえ。
 ただ、その方がリアルだという判断ではあったのでしょうが、支持部がちょっと華奢なのは気になりました。外観がなんか瓢箪みたいで、力強さに欠けるんですよね。もっとごっつくしてほしかったなあ。
 あと、オートバイ自体がネイキッドタイプだったのも寂しかった。多分、ソックスのオートバイとかぶることを避けたんでしょうが、だったらむしろソックスのオートバイをネイキッドにしてくれた方がよかった。



 セカイの乗車は、クラシカルすぎましたね。多分、落ち着いた印象を与えたかったんでしょうけれど、セカイだって別にそんな高齢じゃないでしょうからね。
 原作ではハーレーのイージーライダーですが、つまりアメリカンの極みですが、むしろブリティッシュなのね映画では。とことん原作と違うことやりたかったんですかね、ことセカイに関してだけはw だったらセカイって名前ホントに使わなきゃよかったのにね。
 なにしろ、リアのバッグがダサいです。あんなの、ちょっと派手にオートバイをこじったら、すぐ落っこちちゃいそう。機動的ではありません。



 ソックスのスズキは、イントロの銀行強盗退治場面でえらいワザを見せてくれます。走り続けるジャックナイフなんて、自分、初めて見ましたよ。びっくり。停止の時にテールが持ち上がるジャックナイフなら、自分もできましたけどね。走り続けるのは全然無理。素直にすごいと思いました。
 でも立場上ソックスは八百なのだろうから、無理を押してヤモリメカは積んでほしかったなあ。カタチだけで実用しなくてもいいから、あれは装備してほしかった。



 ヘボピーのトライクは、「うむ!」とうなずく出来でしたね。
 予備タイヤ搭載はメカ的にも実用性の点でも無理すぎますから、単に「巨漢のヘボが乗るにふさわしい巨大なオートバイ」という解釈で正しいと思います。そしてそれは、きちんと表現されていたと思います。
 ベース車なんなのだろうな。ハーレーではなかった。よく見えなかったんだよな。ヤマハのV-max辺りかな。
 そういえば昔、銀座を歩いていた時に、マジでV-maxのトライク仕様が走っているのを見たことがあります。ベースカラーは黄色でした。
 あまりにもドでかくて、ビビりましたw 軽自動車より絶対にデカかった。まあ排気量的には軽々と軽自動車を凌駕してますけど。軽3台半分w
 アクションもサマになってたと思います。トライクに仁王立ちでバズーカぶっ放して高笑いするヘボ、決まり過ぎ。その前後のシーンでは、バックファイアでマフラーをパンパンいわせながら、やっぱ高笑いで走り去ってましたね。活きてました。



 オヤブンはバーハンドルタイプのアメリカン。あれもハーレーじゃないな。でもオヤブンがアメリカンっていうのもねぇ。やっぱりあれはオヤブンじゃなく親分だな。
 もっとも、宇梶氏がオフ車に乗ってる姿っていうのは、確かにあんまり具体的な想像ができないな。たとえNXR750もってきても、にあわない気がします。宇梶氏が乗るオートバイって考えたら、確かにバーハンドルアメリカン、ドラッガー的なスタイルしかないよな。その意味では、キャラによく合った選択だったと思います。



 どん尻になっちゃったB.B.Q.の乗車、これが全然印象にないんですよね……。オートバイに乗ってない時の印象はあんなに強いのに。
 はて?



 あと、けっこうシビれたのは、オフタイムの飛葉の私用車。
 これも多分ホンダベースだと思うんですが、カラーリングがもろにナナハンフォアなんですね。オレンジのタンクに、流れるような三本線。自分が昔、ナガノのプラモデルで作ったやつw
 これにはちょっとしたこだわりを感じました。懐かしかったし、ネイキッドっていうのはやっぱりオートバイっぽくてカッコいいですよ。単車、って感じ。無骨で、いかにも漢の乗り物って気がします。



 今回、一番納得したのは、あるいはセブンレーラーかもしれません。
 原作でもだんだん大きくなっていくセブンレーラーw 最初は4tロングぐらいの印象しかなかったのがやがて11t級になり、最終的にはちゃんとトレーラーになったというw
 なんでそんなことに、といえば、オートバイを7台積めて、かつ先端のIT機器を搭載して移動基地としての機能も備えているとなれば、かなりのサイズが必要になるから、ですね。で、TV版では予算の都合ゆえかごく小さなものでしたが、今回は「え? 日本でこんなすごいの走ってんの!?」と思うような、超巨大トレーラーが登場。これこれ、こうでなくちゃ! と思いましたよ。
 まあそれでも、本当に7台全部積めるのかとういと、やや疑問ではありますがw、そこは愛ゆえに許してしまう。とにかくデカい。迫力がある。でも機動性はそんなに高くはなさそうだw
 相当な装甲が施されていて、拳銃弾ぐらいじゃへこたれないという印象。実際、冒頭の場面ではサブマシンガン(拳銃弾を使います)の掃射を受けても平気でしたね。
 セブンレーラー、今回の目玉かもしれません。
 ルックスはどっちかっていうとCランドのモンスターですけどねw